> コラム > わが社の自慢できる保全員・オペレーター#2(ジヤトコ)

コラム

なぜ壊れるのかを見極めて、初めて保全につながります

ジヤトコ株式会社
 神田 安郎さん

本記事は、輝(2022年11月)発行時点の情報です

保全の匠までの道

18歳で入社した神田安郎さんが配属されたのは機械保全課。
先輩方は職人気質の気難しいタイプばかり。「修理する機械が汚いと『掃除してから呼べ!』って帰っちゃう(笑)。
荒っぽかったけど、仕事は間違いなかった」と思い出を語る。
当時の神田さんは「早く自分の道具が持ちたいなと思いながら、先輩の道具を使い、後ろについて勉強していた」そうだ。
そんな神田さんも保全一筋42年の経験を積み、いまや「保全の匠」に。所属するジヤトコ本社のみならず、国内外に展開する実に多くの工場から信頼を寄せられる。
この表現は決して大げさなものではない。神田さんが所属するSSKTは担当設備を持たず、各工場の保全をサポート、技術指導を行う精鋭部隊である。

保全への意識

同社には1万2000台超の機械があるが、SSKTはそのすべてに対応できる知識と経験を備え、各工場の緊急事態や応援要請に応じ、海外の拠点へも赴く。
ちなみにSSKTとは、設備信頼性向上チームの頭文字から命名されているが、その役割から別名は「ジヤトコの最後の砦」である。
神田さんは現在も自身の技術を磨きつつ、後進への技術指導も行っている。とりわけ「指導」を深く考えるようになったきっかけは2006年、ジヤトコ メキシコ社の設立に伴い、現地採用の保全員の教育を任されたこと。
そこで「保全とは何か」をひも解き、部品管理から始まる教材をつくり、1年半にわたり指導を行った。
俯瞰的に保全を捉えた経験により、自身の中で伝えるべきことがより明確になった。それが「保全への意識」である。

技能伝承をおこなう神田さん①

若い世代に伝えたいこと

「現在、機械は修理を考慮した構造になり、ともすれば交換ありきで管理が行われ、昔の技能が不要になったところもある。
しかし保全員に大切なのは、『壊れないようにするにはどうしたらいいか』を考え続けることなのです」と語り、「保全員が交換屋であってはいけない」と続ける。
「1997年、CVTの立ち上げに携わったとき、多くの技術員やメーカーの方と会いました。
彼らと関わるうち、保全の視点だけで維持・管理はできないと気付きました。彼らの持つ知見や情報を得て、機械への理解が深まり、故障の理由がわかるようになった。
『なぜ壊れるのか』が見えて、初めて〝保全〞ができる。この保全の意識を若い世代に伝えていきたいと思います」

技能伝承をおこなう神田さん②

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