> コラム > わが社の自慢できる保全員・オペレーター#6(日産自動車)

コラム

 

 

日々、そばにいる。だからこそわかる不具合があります

 

日産自動車株式会社
 池田 千里さん
 西林 洋祐さん
 甲田 藤頼さん

本記事は、輝(2022年11月)発行時点の情報です

初期清掃は保全の基礎

「弊社では以前からTPM活動を実施していて、工場全体にも自分たちの機械は自分たちでチェックしていこうという雰囲気があります」と話すのは、日産自動車で機械加工32年のキャリアを誇る池田千里さんだ。
彼が若手のころは「職人気質の先輩ばかりで、とりわけ厳しい人が多かったですね。保全も鍛えられました」と笑顔を見せるが、現在は指導員という立場で自主保全の基礎を教えている。
その基本が初期清掃だ。「清掃で不具合を見つけたら、保全の方を呼ぶ前に自分たちでできることはやっておきます。小さな故障であれば製造部門の自分たちで補修・修理できる技術はある」と自信を見せる。
ただこのところ自主保全へのこだわりが弱くなったようにも感じている。
そんななか自主保全とは何かを体得している池田さんのようなベテランは貴重だ。

後輩の育成に力を注ぐ池田さん

全員ができる仕組みづくり

そしてシリンダーブロック機械加工を担当して16年目という西林洋祐さんも指導員として後進の指導にあたる一人だ。
機械保全技能士2級、自主保全士1級の知識を活かし、設備修理や加工プログラムの修正も行える実力者である。
自主保全における検査項目は保全グループMRブロック担当が製作したものに準じているが、問題が発生した際は、保全員に現地・現物で説明するようにし、コミュニケーションを密に取っているという。
「自主保全を指導していますが、器用な子もいれば不器用な子もいます。指導者として考えなければならないのは、全員ができる仕組みをつくること」と西林さん。
そのため〝これを見ればできる! 〞という万全の仕様書を製作し、広く自主保全活動を促しているそうだ。

自分の設備は自分で守る

そして鍛造歴15年というベテランが甲田藤頼さん。そのモットーは「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)は基本」「自分の設備は自分で守る」だ。
「僕は自分の設備は自分色に染めたいタイプ(笑)。とくに作業工程に1歩のロスもないようにしたいんです」 ルーティーンに合わないものは改善し、ブラッシュアップを続けながら進化させていくのも甲田流である。
また他部署の設備であっても、改善点が見つかれば現場に相談して手を加える。そこまでこだわる理由は鍛造の現場はつねに暑く、熱中症や火傷の危険があるからだ。
また設備がマニュアルプレスの場合は生死に関わることも起こりうる。そんな現場だからこそ、自分やチームの安全確保のために甲田さんは5Sを徹底し、自分が使う設備を自分で守る。
そして池田さん、西林さん、甲田さんが不具合を見つけるために気を付けていると口を揃えたのが〝音〞。「普段と違う、なにかがおかしいという五感を大事にしている」と池田さんの言葉にうなずく二人。
日々、機械の近くにいるからこそわかる不調の音色を、彼らは決して聞き逃すことはない。

保全だけでなく鍛造の経験も豊富な甲田さん

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