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コラム
2022年6月に当会会長に就任した、トヨタ自動車株式会社Executive Fellow・河合満氏。生産現場と経営者として培ってきた知見をもとに、大きな環境変化を迎えているモノづくりの現場において、設備管理に求められる役割や人材育成について、3回にわたりお伝えいたします。
――資格認定制度は、モノづくりにどのように貢献するのか
資格取得が育むもの
国家検定である機械保全技能検定は、毎年3万人を超える受検者がいて、モノづくり分野の技能検定としては、最も受検者が多い試験です。
最近は、3級の受検者の約半数が学生であることから、とくに学生に向けた普及活動を実施し、将来、製造業で活躍する人材育成に力を入れています。
自主保全士認定制度は、2001年の創設以降、累計32万人以上に受験いただいており、「設備に強いオペレーター」の育成に貢献しています。コロナ禍においても人材育成が途切れることのないよう、新たにオンライン試験の実施や、通信教育の充実を図っています。
2019年からは、自主保全士検定試験の成績上位者を表彰する場を設けました。累計32万人が受験している資格試験で認定されるということは、大きな励みになり、自信がつくものだと思います。会社を代表して、目を輝かせて、うれしそうに表彰を受けている顔を見ると、この人が職場に戻ったときには憧れの存在となり、良い刺激を与えてくれるだろうと想像してしまいます。
(2019年度自主保全士優秀者表彰式)
資格を取るためには、前向きに頑張る必要があります。それができる人は、ひとつの目標を達成した後にも、また違う努力をすることができます。成績優秀者として表彰された人や、一人前になった人は、もっと高いレベルへ行こうと積極的な姿勢になるものです。また、そのような上司や先輩の姿を見ている若者にも、自分も同じようになりたいと言う目標ができ、相乗効果が生まれて、職場全体の底上げに繋がります。日本のモノづくりを支える大事な部分だと思います。
関連リンク
機械保全とは、工場の設備機械の故障や劣化を予防し、機械の正常な運転を維持し保全するために重要な仕事で、各種製造現場の共通的な作業です。
機械保全技能検定は、機械の保全に必要な技能・知識を対象として実施いたします。
製造オペレーターに求められる知識と技能について、製造部門が受け持つ保全の一部の機能や管理技術を客観的に評価するための尺度を定め、「検定試験」および「通信教育」を通じて、「自主保全士」を認定しています。
河合満 略歴
1948年生まれ。1966年、トヨタ技能者養成所を卒業し、トヨタ自動車工業株式会社に入社。本社工場鍛造部長、本社工場副工場長、技監を経て、2015年専務役員に就任。2017年より副社長に就任し、現在はExecutive Fellowを務める。
2016年6月より公益社団法人日本プラントメンテナンス協会副会長、2022年6月より会長に就任。