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TPMの成果指標を設定するねらいと成果指標の例

ロスを明確化(見える化)し、TPM活動の進捗や成果を評価するために、 KPI(Key Performance Indicator;主要業績評価指標)、KAI(Key Activity Indicator;主要活動指標)を設定し、記録することが重要です。

とくに、KPI は、TPM 活動の⽬的や⽣産形態や⽣産品⽬、企業戦略に基づくKMI(Key Management Indicator;主要経営指標)との結び付きなどを考慮して設定することがポイントであり、PQCDSME(生産性:Productivity、品質:Quality、原価:Cost、納期:Delivery、安全:Safety、モラール:Morale、環境:Environment)の視点から設定します。 

こうすると、広範囲にロスを認識し、削減をすることができるようになりますし、経年での変化だけではなく、類似した工場間の比較にも役立てることもできます。

KPI は、TPM活動によりロスが削減され、改善された「結果」を表します。

KAIは、KPIを達成するために必要な活動の目標や実態を表し、件数、枚数、人数、時間などで示されます。

指標は、絶対値による評価だけでなく、「活動開始前に対して、どの程度良くなったのか(増減率)」を把握し、成果を上げるまでのプロセスや努力度合いを「見える化」することにも役立ちますので、活動の維持継続や活性化にとっても重要です。

●TPMの成果指標(概要)

KPIのうち次の主要な指標について、2001~2022年にTPM優秀賞を受賞した事業場の傾向をみると、次のとおりです。
TPM活動開始前のベンチマーク(BM)に対し、TPM優秀賞受賞時点での実績は、

<生産性に関する指標>

・設備総合効率の平均値は、67.5%から81.0%と、20.0%増
・故障件数の平均値は、BM比で76.7%減

と大きな成果が出ています。
故障の低減は、TPMに取り組むことにより、とくに大きな成果が期待できる指標です。

<品質に関する指標>

・工程内不良率の平均値は、5.7%から2.8%と、50.9%減
・クレーム件数の平均値は、BM比で49.5%減

とそれぞれ、ほぼ半減化しており、工程や設備で品質を作り込むことで、品質不良の予防につながっています。

<納期に関する指標>

・納期遵守率の平均値は、87.4%から94.1%と、7.7%増
・生産リードタイムの平均値は、BM比で37.4%減

となっており、設備トラブルが減少し、品質が向上することで納期遅れが少なくなるとともに、生産リードタイムも短縮しています。

<安全に関わる指標>

・休業災害件数の平均値は、BM比で70.8%減
・不休業災害件数の平均値は、BM比で76.1%減

となっており、突発故障対応などの非定常作業が少なくなるに伴い、休業災害件数、不休業災害件数ともに大幅に減少しています。

※1 各指標のBMならびに実績の平均値は、TPM優秀賞すべて(最上位賞を含む6つの賞)の受賞事業場を対象とした数値です
※2 各指標のBM把握から実績までの平均期間は約3年です

会社や事業場によって、生産品目や生産工程、設備の種類や台数、生産数量、また故障や不良などの定義なども異なるため、異なる事業場で数値を単純に比較することは難しいですが、TPMを通じて、TPM開始時点(BM)と比べ、TPM優秀賞受賞時点(実績)で数値がどの程度変化したかを知ることは、改善の目標設定などの参考になるでしょう。